ブレイクスルー4 -20-

 恥ずかしさに、また、感じているので途切れ途切れになりながら、イマイチ勢いも切れも悪く出し終わると、原田が振って滴を切る。そのまま尿道に残ったかもの残りも絞り出すかのようにさすられる。
 まあ冷静に考えれば、別に小便してるとこなんて、見られても何ともないわけだけど。風呂の裸とベッドでの裸が違うくらいに、個室での、見られての排尿行為ってのは、縮み上がるほど恥ずかしい。
 しかも触られて。
 出し終わっても、原田は離さず上下にさすり続ける。表皮が摩擦で熱く熱を持ち、もうひとつの衝動がじわじわと身体を犯していく。
「あ……、離して、」
「ええ声やな。離してほしくないくせに」
 そう言って、先だけを潰すように強く掴む。思わず身を反らし、声が漏れる。
「あ……あ」
 尖らせた舌先が、濡れた感触を残しながら、耳の下、静脈の辺りを辿る。感じすぎて、首をすくめる。
「や……こんなとこで……」
「高階のヤツに、いいようにはさせへんぞ」
 前で蠢く手、そして背後からの舌と熱い息、そんなものに、びくっ、びくっとやらしい動きで彼の腕の中で身を、足をくねらせてしまう。そしてシャツの裾から、もう片方の手が上へと侵入してき、胸の突起を摘まれる。潰され強く激しい疼きが広がっていく。下半身が、ぴんと一層固くなったのを、自分でも感じた。
「あ……やめて。ダメ。こんなことしたら、却ってあかん……」
「あいつに、思い知らせたんねん」
「あかん……高階クンの性格、分からへん……?こんなことしとったん、感じさせたら……、あの子、却って燃え立つ……」
 容赦なく強く掴まれる。小さく呻き、身をすくめると、原田が一瞬離れ、向かい合わせに壁に押しつけられ、真正面から睨むように見つめられる。
「ちょ……水流させて…」
 そう言って手を浮かすと、彼が自分で流す。水音の中、彼が言う。口の端が、皮肉な笑みに上がる。
「よう分かってんな……おれより付き合い短いくせに、おれよりあいつのこと分かってんちゃう?おれの知らんようなことも、」
「そんなこと…ない…、お前かて分かってるはずやわ。知ってるくせに……、」
「いや。おれは知らんわ」
 原田はそう言うと、おれを壁に押しつけ、大きくシャツをめくり上げて、胸に吸い付く。執拗に舌先に嬲られる。外気に晒された肌に、ひんやりとした空気が感度を上げる。
 声が出そうになる。でも誰か入ってきたらいやだから…力を入れて、耐える。
 片手で腰を抱き寄せ、片手でパンツを少し下ろし、愛撫を加えてくる、原田。身体は、理性は膨れ上がる快楽に、押し負かされそうになる。
「……、」
 びくっと腰が前後に揺れた。張りつめた快感が弾け、すぐに身体をよじらされ、原田の手によって再度便壺に向かって放出物を出される。
 出し終わって、恥ずかしくなる。こんなとこで…近くで高階クンや、野々垣さんもいるところで。余韻と、その恥ずかしさで身体の熱は引いていかない。こんな顔、見せられない。2人に見せたくない。
「や……、」
 思わず俯く自分の口から、そういう言葉が漏れる。と、外のドアの開く音がし、トントンとノックされる。背筋を冷たいものが貫く。原田を見れば、相変わらず険しい顔で、ドアを睨む。
「入ってんのかー。…」
 その声は、多分あの女の子達のうちの1人。足音が、手洗いの方へ向かう。きっと鏡を見ながら待つつもりだろう。なんか生きた心地がしない。どうしたら…、
 おれがそう思っていると、原田は落ち着いた仕草でおれの服を整えさせ、ドアの鍵を開けた。音が響く。信じられないものを見、目を丸く見開き、動けないおれの腕を掴み、原田は堂々と出る。
「………!」
 やっぱり鏡に向かって化粧直しをしていた女の子は、口元に手を当て、目を一杯に開いておれたちを見る。おれは、恥ずかしくて熱くなる顔を上げることが出来なかった。
 いやだ……!真剣にそう思った。幾らここにはそういう人が来るからといって、こんなところを見られてしまっていいワケない。あの驚きの顔が物語っていた。そしてやっぱり身体にくすぶる熱。
 痛い程に掴まれ引っ張られながら、テーブルまで戻ると、談笑してた高階クンの前に憮然として立ち、おれを掴んだまま原田が言う。
「高階。席代わってくれへん?」
 高階クンは見上げ、掴む腕を見、おれの表情に目をくれると、すっと口元に薄い笑みを浮かべ、ゆっくり席を立つ。高階クンのその表情は、おれの思っていた通りの表情で…、
「どうぞ」
「すまへんな」
 そして原田はおれを掴んだまま、奥へ座る。だからおれは身体のバランスを崩し、転がるようにその横に座ってしまう。崩しついでに、原田に身を預けてしまい、2人の手前、慌てて姿勢を正そうとすると、引き寄せられてしまった。
「原田……!」
「ごめんな。さっき何の話してたっけ」

記念すべき20、というか、20?みたいな。まぁ一回が短いですからね…今までと比べると。その20がトイレ話とは、素晴らしい…、ブラボー!いやぁ楽しいですよここ…もうちょい先まで考えてるから、……

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