こうそくドライブ 3

 早く、はやく……トイレ行って、後ろの抜いて、前もヌイて。
 早く楽になりたい、早く……
 だんだんもうろうとしてくる意識は、そんなことばかり堂々巡りで思っていた。
 楽になりたい前もこれ以上ない位脹らんでいて、締め付ける細い金属が痛い。痛くてつらくてナミダを流し続けてる。
 標識のkmの数字がどんどん小さくなってき、原田はウィンカーを上げると、左の車線へ移動する。
 それだけで、解放を待つおれの身体は歓喜に力み、震える。
「あっ、あん、あっ、あっ、……」
 その途端思わず声を漏らす。自分でも予期できない刺激だったため、無防備にも声は結構でかく甘く……できるものなら、耳を塞ぎたいような。でも腕は拘束されていて、塞ぐこともできないわけだ。
 原田は、ゴクリと喉を鳴らした。
 走り出して数時間、道程も半分は過ぎていた。おれは一体どのくらい小さくて小さくない玩具に攻められ続けているのだろう…
 辿り着いたSAは、家族連れやら色んな車で駐車場もかなり埋まり、混んでいた。
 走り回る子供、幟を上げた活気溢れる売店の表の露店、群がる人々…それをもうろうとした目の端に留め、急にぱっちり目が覚め、身体も冷める。
 すくみあがる。
 いやだ、こんな中あんなもんブンブン言わせながら絶対ヘコヘコしながらトイレまで行きたくないって……!
 そのときキイッと音を立て、車が止まる。
「原田……」
 すがるように言うと、彼はおれから目を外し、シートに回る腕の拘束を外す。
 腕はすっかり強ばり、痺れきってた。両手を振る。トイレで上手く自分のが掴めるだろうか。
「ほい」
 え……?なに、ほい、って。まさかこれで追い出す気じゃ…
「止めて…歩けない。止めて、抜いて」
 原田はゆったりしたジーンズの右ポケットを抑える。リモコンは、原田のズボンのポッケに収まっていくのをさっき見た。
「エー…イヤ」
「イヤとか言うな!子供よーさんいてるやんか!オマエは犯罪者になりたいんか、そこまで倫理観のない男やったんか、恥知らず!」
 おれが必死の形相で(多分)言うと、やっと原田はおれを見、
「しゃーないなぁ…サービスで、抜いたるわ」
とおれに覆い被さるようにして、ズボンの中に右手を忍ばせる。手がバイブの根元にかかる。ひときわ唸るそれ。原田の腕の力を感じ、オレの中でヒネリが入る。ビリっとくる。
「あ……ん。止めてから……」
 殆ど息になって漏れる言葉も聞かず、そのままそろっと抜き始める。加わったタテの動きにもうおれは小刻みに身体を揺らし、堪える。出そうだから。そこをぐっと我慢。
 もう少しで解放されるのだから。ちょっとだけ、最後の我慢。
「凄い気持ち良さそうやな…そんなに腰揺らして。なんかちょっと嫉妬してきたわ。おれよりイイか?」
 原田の手が胸元に伸びてき、指先だけで固く尖った胸の粒に触れる。目をつむっていたおれはビクッと痺れ、身体を震わせた。
「はぁ……っ、や……原田……」
 しかしそのとき。キャッキャッという甲高い子供の笑い声が寄ってくる。親子連れが、隣の車にあちこち寄り道(子供が)しながらもたもたと寄ってくる。万事休す。原田の手も止まる。隣の車のドアが開けられ、しかし乗りたがらない子供は駐車場を走り回っていつ出かけるのか掴めない…
 おれたちの車は車高が高いが、隣の車も似たような車だった。
「……しゃーないな。モーター止めたるから、そのまま行き。な。おれも一緒に行くし。…昼飯も、済ませとこか」
 入れっぱなしで、メシが食えるかー
「ぜっったいイヤ、」
 結局そのまま、外はいい天気でかなり暑くなってきていたのに、前を隠すためにおれは薄手とはいえジャケットを羽織り、挙動不審に見られませんようにと祈りながら、なるべく普通に遙か彼方に見えるようなトイレまで歩いて行った。
 トイレは出入りが激しく、個室には1人で入れると思っていたのだが、ほんの一瞬のスキ(?)をつき、原田も入ってくる。
「な……」
 後ろを向き、指を差し口をパクパクさせていると、ニヤ~と笑い、
「早よ済ませぇや。誰か来たらかなわんやろ…」
「そう思うんなら、出とけ、」
「それは出来ひん。ホラ、はやく、」
 原田は尻をさわさわ撫でる。中で動くそれ。あっ…と締め付けてしまうおれ。
 勃ちっぱなしだし、このまんま用足しはかなり難しい。
 でもこれ以上原田にお願い、はなんだか気分的に負けな気がしてしたくなかった。で、後ろに原田の視線を感じつつ、自分のものを取り出し、表面をひとしごき。
「あっ……」
 もうイキそう。そんなおれを原田は後ろから抱き締め、おれの手ごと強く締め付ける。
「や…やっ、これ以上は、もう……」
 おれは頭を振り、訴える。おれの身体も熱いけど、原田も熱くて。なんか固くて。クイッと押しつけられて。
「まだや。まだまだ」
「意地悪い……もう充分…充分やろ?原田はおれをこんなオモチャでいじめて、そんなに楽しいん?おれをいたぶって、オモチャ扱いして…おれ、イヤ。おれのことまだ好きなんやったら、こんなんじゃなく、お前のを…お前が、入れて…一緒に熱くなって。見られるだけは、イヤ……」
 ちょっと感極まってほんとに泣きそうな震える声で訴えると。ずるりと一気に抜かれ、その刺激で
「あん、」
 掴まれてなければ出てたくらいの快感が襲う。原田はおれをひっくり返し、正面からぎゅう~と抱き締めると、
「ごめん……ごめんな。ついお前が可愛くて……カワイすぎんねん。ああでもそんなこと言われると…悪かった。おれが悪かったわ。お前のことは、今でもムチャクチャにしてやりたいくらい好きや。ごめんな。愛してる。おれももう我慢出来ひん、今イかせたるから。一緒にいこうな……」
と優しくささやいてくれた。おれもひし、と抱きつく。原田はその間片手で自分のモノを取りだしていた。
 が。これからというときに、ノックの音が。それもかなり説破詰まっているのか、せわしない。
「チッ、他にも個室、あるやろ……」
 暫く息を潜め、熱い身体を抱き合っていたが、ノックは執拗である。
「……しゃーない。出よか」
「……えー、……」
「恥ずかしいのは一瞬やって。二度とここには寄らんとこな。くそ」
 そう行って身繕いし、原田はスケルトンなものを大事そうにトイレットペーパーでくるみ、おれのジャケットのポケットに押し込むと、ドアを開けると呆気にとられる簾頭のおじさんを後目に、いや他にも居た人達の目を避けるようにしておれたちはそのトイレを出た。顔が熱くてたまらない。
 もう売店どころでもなかった。
「あ、お前トイレ……」
 駐車場の中程を足早に先に立って歩く原田が言う。おれはヘコヘコしない程度に付いていきながら、
「ううん、まだ大丈夫…」
「ごめんな。……チェ、ソノ気になったのに…バチ当たったんかな。お前いじめた。…赤、どっかで下りてラブホでも行こか」
 おれは原田の背中の服を掴み、ウンウンと頷いていた。

「くそーなんでこんなときに限って混んでんねんー!」
 それから数分後。いつの間にやら一応動いてはいるがノロノロ渋滞にはまっていた。ハンドルにうなだれる原田のうなり声が車内に響いていた。
 結局昼ご飯もエッチも博多でインターを下りてから…
 長い苦行のような帰省となったのだった。
「えらいきつかったごたるねぇ~早う上がってゆっくりしなっせ~」
 ようやく辿り着いた実家では、母親がそう言って、心配げに迎えてくれたのだった。




END

なんかムリヤリ終わらせた感がなくもないですが…ウワーこんな中途半端な出来ですみません…!なんか唐突だしーアワワー(汗)田舎での様子も多少は書きたいかなと思ったんだけど…それはまた別の話で。すいません

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