―ある朝の情景―

ある朝の情景。目が覚めれば明るい日が窓から射していて、
白いリネンに反射して天井もほんのりと明るくて、
いい1日を感じさせる目覚め。
シーツの肌触りが気持ち良すぎて、おれは至福の時をまどろむ。
その情景の中に馥郁としたコーヒーの匂いが立ちのぼり、
ベッドを揺らして原田が戻ってくる。
「………」
起きなきゃ、と思いながらも意識は相変わらず至福の時をさまよう。
どうにかベッドに起き直ると原田が「おはよう」と口づけてくる。
「………ん」
口の中をゆったりと動く舌の気持ち良さに全てを委ねていると、
原田の手がそろそろと降りていきからかうように触れてくる。
「………、」
だめ、という思いを込めてそっとその手首を差し戻すと、
原田もまた触ろうと押し戻す。
「………」
んもう、朝からそんなのダメ、とおれは微かに触れる手をまた押し戻す。
すると原田は触ろうとする、その繰り返し。
「………、ん」
そのうち、触れるか触れないかの刺激におれのそれがじんわりと熱を持ち始め、
だめだと言っているのに、なし崩しに朝から喰われてしまった。


END

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