吉田君の独り言

 最近おれは夜、原田んとこに電話したくなることがよくある。
 なんでかって言われると、悪趣味と思われそうやけど、あいつらが付き合ってるって実感したいからって感じかな。
 いや、それは大分前から知ってることやけど、今更やけど、ああこいつら付き合ってんねんな…て思うことが今年あったから。それ以来、ちょっとおれ変なんかも知れへん。
 相変わらずおれたちは泊まりがけで遊び行ったりしてんねんけど、例えば去年の夏も海に泊まりがけで行ったりもしてんけど、そういうときはあんまり付き合ってるーていうベタベタした感じは出さへん、特に赤は普通の友達みたいな感じでイチャついたりはせえへんねん。だから水着に着替えるときとか、風呂入るときとかも滅多なことではそういうこと実感せえへん。
 いや、たまーにはあるで。赤と原田は、ヤッてんやったなーとか…てゆうか赤は原田にヤられてんやな~とかふっと思い出して、妙~にドキッとしたことも。でも殆ど会ってしゃべってると忘れるわ。あとな、やっぱおれには理解できひんかってん。長い間。だから平気やったんやと思うわ。思い出したない、想像したないってのがまずあるからな。
 でもな、今年のGW、見てしもてん。いや、わざとではないで。
 今年は、日帰りで高原のキャンプ場行ってバーベキューと釣り、あと近くの観光とかしてやな、その帰りに温泉行ってんけど、達っちゃんとこの奥さんとみっちゃんも来てやな、…おれ?おれはまだ結婚してへんわ、あ、ずっとあれからおれへんかったワケやないで。何度か付き合ってんけど、なんか長続きせえへんねん。なんでやろ。いや、だからおれのことはどうでもええねん。
 どうでもええとも言われへんなあ。だっておれ、もう30過ぎてんからな。このままやと貰い損ねるわ。でもな、今はあんまりそのへんどうでもええねん。
 でな、キャンプ場やけど、爽やか~ないい天気やってんけど、あんま人はおらへんかったわ。着いたらもう昼やったから、まずバーベキューしてやな…あとは川で釣りをして、釣りせえへんやつはテニスしたりしててん。
 原田と赤は、原田はおれと富田と釣りしててんけど、途中で「トイレ」言うて立ち上がってん。赤は元々釣りにはあんまり興味持ってへんから達っちゃん家の人々とテニスとかして遊んどった。
 でな、いやに帰りが遅いねん。おれと富田は好きやけど、あんまやっとったら帰るの遅なるからな、子供もおるし、そろそろ切り上げよか言うて原田は戻ってけえへんけど、片づけ始めてん。
 富田は、
「原田はどうせ赤にひっかかってあっちで遊んでるんちゃう?」
て言うしな。
 まあなんだかんだ言うて原田はそんなヤツや。
 でも、達っちゃんらのとこに行っても、2人はおれへんかってん。達っちゃんはおれらが「2人は?」て 言うと妙に照れ笑いして、みっちゃんを抱きながら、
「さあ…連れション行ったみたいやったけど?」
て言う。おれは待つのん嫌いやから、「探してくるわ」て言うと、達っちゃんは「やめとけや。そのウチ帰ってくるって、」て止めてんけど、富田も「やめとけば?」て言うたけど、おれは2人を捜してトイレ行って…おれへんかったから、裏の林の方に行ってみてん。
 林は、新緑がきれいで実に爽やかやったわ。なんかオゾンって感じで。誰も、マジで誰も見あたらへんかったしな。まぁーおれもいい加減気付いとってんけどな。せやから林に入ってんけどさ…見てもうたワケよ。
 何って、今更やな。2人はキスしとった。
 木立の中で…おれもそんな言葉知ってまんねん、おれはパッと木の陰に隠れた。赤は、結構太めの木に凭れて原田に抱きしめられて、目つむってた。原田はどんな顔してるんかおれの角度からはあんま見えへんかったわ。殆どおれからは真横やってんけどな、2人とも。
 なんかねとーっとキスしとってんけど…その段階でおれもドキドキしとったけど、2人の口が離れて、原田は赤の肩に顔埋めた。そのとき赤がこっちに顔を傾けて、目はつむったままやで、微かに口開いて、「あっ、」て言うたんが分かったわ。
 なんか見たことない表情やってんな。マジでドキドキしたわ。男やのは分かってるけどな。男でもそういう顔は何、多分声もやと思うけど扇情的なもんなんやなあ。
 赤はもじもじした感じで、ちゃう、身を捩ってイヤがっててんけど、原田は抱きしめて赤のボタン外して前と肩をちょっとはだけさせた。
 身体は、よう知ってる男の身体や。けど、いつもの赤の身体とは、別モンやと思た。別な部分は、緊張や。感じて妙な力入ってるから、緊張帯びてるから、強ばってこっちにもそれを感じさせるんやと思う。そして、その緊張がちらりと見える肌に普通 にリラックスしてるときには見えへん艶を与えてるんやなあ。と思た。思たんは後になってからやけどな。そんときはそれどころちゃう。
 原田ははだけたシャツの中に腕を入れて抱き寄せながら、やっぱ感じて硬くぽつっと立ってる乳首を舐め始めた。赤はもう頭のけぞらせて木に預けて息を荒くしとった。そのとき、赤の睫が震えるのが見えて、ゾクッとした。
 そして実感した。ああ、2人は付き合ってんねんな。赤は原田の恋人やねんなあ…て。
 勿論赤も友達や。でも原田とは高校のときからの付き合いやし、赤はただの友達としての付き合いより、2人は恋人としての付き合いの方がもう長い。せやから、どうしても原田の恋人、て風になってまう。それに、やっぱり赤が抱かれる側ってのがデカイんやと思う。そう思ってまうのは。
 赤は色っぽくのけぞりながら、原田の首にかけていた手を握りしめ、原田の服を掴んだ。いやマジで色っぽかったわ。すると原田は右手をズボンの前にかけ、開けて軽く中を探った。その途端ぽろっとツヤっとしたもんが出てきてんけど、その時も気色いとか思えへんかってん、もの凄くドキーッとしたわ。見たらあかんもん見たいうか、危険物いうか、イヤマジで危険物やなあ。
 原田はそれをくわえたわ。もうおれも感じてイキそうやった。赤の前ははだけて見えまくってるし、男の上半身なんて、しつこいようやけど見えて当たり前なもんやけど、隠した方がええ言うくらい誘うようなヤバイ色気あったで、それをこっちに見せつけながら赤は不自然に緊張しまくるし。
 おれはその辺で我慢できひんかったからそーっと立ち去ってん。大丈夫、バレてへんと思うわ。何が我慢できひんかったかって?そんなん決まってるやろ、おれはトイレ行ったわ。
 2人より先に達っちゃんらのとこに戻ると、おれの顔見て達っちゃんも富田も困った感じで笑うねん。
「あの2人、なんで連れション行ってん、」
て何となく言うと、達っちゃんが、
「テニスしとってんけど、未知が赤んとこ走り寄って、足に絡みついて『あーちゃん~』て押し倒して赤がくすぐったがって笑っとったからかな?そのあとおれが寄ってって未知を抱いて赤を起こした」
「それ先に言うてや~」
「言うてもどうせ行ったやろ、吉田」
 それから暫くして2人戻ってきてんけど、なんかまだ赤はぼーっとした感じで熱を帯びてる、て感じで危険な感じやったな。おれもそれなりの表現出来てへん?一応スポーツ新聞読んでるから。
 ちょっと温泉が心配やってんけど、赤は寝て待ってる、て入らへんかった。やっぱそんなんの後じゃ、気分的に恥ずかしいよな。おれも恥ずかしかったし。それに、付けられてんやろなあ。
 それ以来会ってへんねんけど、あいつら今頃やってんかなあ、原田のやつ赤をやってんかなあ、て思うとそれを確認したくなって、電話したなんねん。邪魔したなんねん。出来たら赤に色気ある声で出てもらえたらラッキーかなとか思いながら。
 おれってちょっとヤバイ?ヤバイよな。こないだ電話したあとも興奮してもて、やってもーたからな。あんときの赤思い出しながら。

パート4の6の最後の場面書いて、いや思いついたときに同時に浮かんだネタ。大したネタじゃないから小ネタですが、こんな小ネタひとつ書くのに何時間かかってるの私…!まあいいやちょっときゃつら羞恥のかけらもないアオカンですが、木立の中の赤城君がどうしても脳内から離れてくれなくて~~あと吉田君はだからといって赤をどうしたいとか真剣には思ってないから…てゆうかそんな話にはしたくないんだけどぉ~~…なんか書きたくなっちまってよぉぉ~~(汗)
しかし本編ほったらかしてこんなん書いてる場合かな自分よ…

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