if もしも僕が赤城さんと付き合ったら… 高階編 -1- ぼくの見る夢

 ついに赤城さんが原田さんと別れた。おれのものになる日が来たのだ。
 今、おれの部屋の、おれの横では赤城さんがあのときのようにベッドに凭れて微かに顔ほころばせながらテレビを見ている。おれは、そんな彼が愛しくて、そっと彼を見っぱなし。
 こんなに嬉しいなんて。こんなに幸せ感じるなんて。
 好きだ好きだと言い続けてきたけど、正直言って自分でも信じられない。赤城さんを手に入れられただけで、おれ1人が独占できるということだけでこんなに幸せだなんてどういうことだ。でもこうやってその色の薄い柔らかな髪がかかる横顔見るだけで、その穏やかな顔を見るだけで、綻ぶ唇を見るだけで、胸がつきんと痛くなるんだからおれも相当なものだと思う。焼きが回ったってやつかと思う。
 でも、この沸き立つ気持ち、騒ぐ血、締め付けられる胸は止めようもない。止めようとも思わないけど。
 体育座りしてる赤城さんの、膝からこぼれ落ちた左手を右手で握った。
 彼もどきりとした表情でおれを見る。胸騒ぎを感じる。
「あ……、」
 顔を赤くして俯く赤城さん。まだまだおれとこうしてる、ってことに違和感と戸惑いがあるらしい。
 でもそんなところが、たまらない。
 我慢出来なくなる。
「赤城さん……」
 掴んだ腕を上げ、赤城さんの側に身を寄せた。すると彼は更に身を引くように、俯く。
 おれは逃れようとするその背中を、左手で引き寄せた。
「高階クン、……」
 そう言葉を零す唇を、すくい上げるように塞いだ。
 どきどきする。バクバクする。温かい赤城さんの身体を腕中に一杯に感じて、ビンビン脈打って、簡単に痛くなってくる。痛くなるほど張るってことも、なかなかなかった。でも赤城さんをおれだけが好きに出来る、って思うだけで猛ってくる。
 おれだけに身体を開き、恥ずかしそうに、でも隠さず全てをを見せてくれる。
 おれだけに。
 おれだけに許された特権なのだ。そう思うと、昨日から、昨日は土曜で休みなので……何度服を着ても、直ぐに発情して何度も脱がしまくったおれは、また赤城さんを脱がせたくなってきた。
 唇を味わいながら、左手でシャツの裾から手を入れ、撫で上げる。赤城さんの身体が跳ね、おれ自身もびくんと脈打つ。親指を小さな突起に押し当てると、今度は赤城さんは微かに身を捩る。
 潰すと、唇から甘い吐息が零れる。その唇を、更に深く貪る。
 かわいい。強く思う。赤城さんはかわいい人だ。年上なんて関係ない。いや、年上だからこそ、よりそう思うのかも知れない。年上なのに、こんなにかわいい。年上だからこそ、おれが抱くために、もっとかわいくさせたい。男なのに。
 でも、カマっぽくも、なよってもいないのが、赤城さんの希有なとこだ。それなのにかわいいんだ。そのあり得なさ、絶妙のバランス感が、何年もの間おれを捕らえて離さないものだと思う。
 他の誰かでは、満足出来ない。そんなものを持っている人だと思う。
 だからこの人に魅入られると、虜にされてしまうのだ。
 赤城さんが原田さんと付き合う前、ぶっきらぼーで仏頂面で、つっけんどんな人だったというのは知ってる。初めて潮崎さんと一緒だった会社に行ったとき、なんか取っつきにくい雰囲気を感じたのはその名残かと思う。
 そんな頃、出会って原田さんのように好きになったかは、判らない。
 かわいくない赤城さんなんて、今じゃちょっと想像つかないから。
 今の赤城さんは、そんなものはない。ただ自然体で、かわいくて、いつも色気がそこはかとなく漂ってる。もの凄くフワッとした、柔らかなものまで感じるようになったのは、おれの目が大分濁ってきたからだろうか。
「ん……あっ、」
 赤城さんが激しく首を振り、離れたその口から喘ぎが漏れる。執拗に転がす突起から、沢山の気持ちよさがその身体に流れ出しているんだろう。右手で首を引き寄せると、その大きく開いたシャツの衿の中に、顔を埋めた。ほの温かい体温と共に、上る微かな甘い体臭が、鼻をくすぐる。
「高階クン……高階クン、まだ、昼間……、」
「夜ならええんですか?」
「そうじゃなく……」
「じゃ、いいでしょ」
 赤城さんをベッドに押しつけ、その足の間に自分の身体を入れると、右手を背にスライドし、引き寄せベッドの上へ抱き上げた。身体が、スプリングに揺れる。
「もうしんどいのに……、デートに、出かけるんちゃうかったん?せやから、服着て、用意も出来たとこで、……」
「デートなんか、これからいつでも出来る」
「じゃ、Hもいつでも出来るやん」
「今の赤城さんは、今しか味あわれへん」
「味わうて……いややわ、」
 そう言って横を向く赤城さんの、露わになる白い首筋に、音を立てて吸い付いた。
 すると彼はのけぞり、片足が自然と持ち上がる。
 その片足を掴まえ、引き寄せてもう一度キスした。身体をくっつけて。ズボン越しに、互いの熱く、存在感あるものが当たる。つい腰を揺らしてこすると、刺激が気持ちいい。
「赤城さん……」
 足を掴んでいた手を、前に回し、囁きながらファスナーを下ろした。後ろに手を回し、引き下げるとバタつく赤城さんの足から、ズボンを脱がせた。
「………」
 つい、身を離して彼を見下ろす。さらけられ、恥ずかしいのか俯く赤城さんの顔は長い前髪に隠れてみえない。でも、人目に晒されることのない股間は閉じないようにと膝を掴んでいるおれの手に大胆に開かれていた。更に手に力を込め、押し広げようとすると、彼は閉じようと力を込める。
「見せて……見せて。赤城さん…」
 俯く彼の耳元で囁くと、びくりと身体を震わせ、でも少し力を抜いてくれる。
「あっ……」
 赤城さんは縋り付くようにおれの肩に顔を埋め、首に抱きついた。

けちくさくてごめんなさーい。予告。福袋の中味は、ifとして高階クン、土井さん、潮崎さんに赤城君への思いの丈を語ってもらいます。あと折角なんで、原田君編も書くかな。それにしても前振りしすぎというか、そんなもんイキナリこそっとやれやと思われるかも知れませんが、私自分の性格知りすぎてますんで、こうやって宣言して追い込んでます……なので許して下さい!

Copyright 2005 Lovehappy All Rights Reserved.