皮つるみ 4

 白い背中が淫靡な紅い薄明かりの中浮かび上がる。
 のけぞる背中。それにつられて反り上がる白いプリンとしたお尻。誘うようなその仕草に、おれは手を伸ばしぐっと鷲掴み。その手のひらから赤の身体の緊張が伝わる。
 舌を伸ばし、這わせれば、舌の動きに弾力的に柔らかく応える肌。
 ん、ん、と眉間に微かに皺を寄せて、身を捩る赤。
 執拗に全身を舐め上げ、トロトロに溶かすと、内部も熱く溶けている赤の中に、侵入していった。
 進むほどに、赤の中は収縮しおれを奥へと誘い込む。
 全身トロトロのくせに、おれの愛撫を受けさっきとうって変わって唯一ギラギラと力強く精力に漲ってそそり立つ中心のモノ。そんなギャップも愛しい。
 宿坊の風呂はもう終わってるし朝風呂もないので、ゴムはめて。赤にも汚れないようはめてやれば、その手の動きにピクピクと震え、応える。
 もうイキそうなんじゃないかと焦り、可哀想だけど根元を抑え、おれはおれの下の、可愛い獲物の開かせた身体を自分本位に貪ることに専念する。赤は「触って、触って……」と熱に浮かされたような声で訴える。言いながら自分で触れようとする。その手を優しく掴んで両手纏めて抑える。いい眺め。  隣のヤツラ、見えてるかな…この姿。
 そう思ったら、おれのが赤の中でギンっと堅く、膨張したようだった。
 赤の浮気や、他のヤツのちょっかいもムカツクけど、でもやっぱおれにも赤を見せびらかして涎垂れさせたいという欲もあるわけで。結局どっちもどっち、救われないってところなのかなと、おれも熱くなった頭の片隅で、これでもかと強く、激しく、赤の身体を揺らし強く打ち付けながら思う。
「あっ、あ……!」
 細い声を上げながら、赤が果てる。荒い息。上下する胸。立ちのぼる香り。
 きつく締め付ける赤に、おれも我慢できず吐き出す。
 軽く熱が引くのを待って、赤を起きあがらせる。赤はやっぱり隣を気にしながらも、
「ちっとはおれへのサービスしろや」
と言うと、なんとも情けない顔で、目を潤ませておれを見る。そしてふっさりと睫の陰を落としながら俯くと、身を起こす。何もつけていない、生まれたままの姿で。
「膝立ちになって、少し足を開いてくれ…」
 そう、隣を背にして言うと、赤は素直にそうする。おれの目線には心臓の辺り。くびれた腰に両手を添わせ、そっと唇を寄せる。
 放して、見上げて…ほんとに綺麗だと思う。
 法華寺の十一面観音、東大寺三月堂の月光菩薩、興福寺の阿修羅像。不退寺の白くかわいい聖観音、海龍王寺のきらびやかで凛とした美しさの十一面観音。
 どれも素晴らしく、気品に満ちていた。おれだって、美しいものはやっぱり美しいと感じるわけで。
 その中でも一番気に入ったのは、秋篠寺の伎芸天だった。こんな綺麗な像があるのかとちょっと驚いた。オレンジ色の照明にけぶる小首を傾げたような姿でおれたちを見下ろす柔らかで美しい表情は、親しみやすさと絶妙のバランスでオレの目を惹いた。そして何より、一番赤に似ていると思った。
 その像を思い起こしながら、だけどどんな像よりも、おれは今目の前に見上げている、赤の身体が神々しく神聖なものに見えた。
 綺麗だ……
 そう囁き、乳首に舌を這わせると、ゆるくおれの肩に掛けていた両手をきゅっと握りしめる。
 見えるかな。
 隣のヤツラにもおれの赤の神々しい程の美しさが。
 まぁそこまで神々しく見えるのも、こうやって惚れちゃって、下から見上げているおれだけかも知れないけど。
 でもおれは、この赤を何より崇拝する。
 ずっと、おれの中で一番、でいようと、いてくれるよう祈りながら、その時がいつまでも続くように祈りながら。
 このまま。美しい彫像のような赤を愛でながら。
 そろそろと内股に片手を這わせ、おれはもう一度赤を熱くさせていった。

「明日は正倉院展か。…人混みがスゲーだろうけど」
 ぼやくと、赤が
「ごめんねでもいいもの一杯あるから、」
「おれにとっちゃお前が一番いいもの、国宝やからこう出来たらあとはどうでもいいんやけどな」
 にやついて言うと、赤は困ったように口を尖らせ、
「バカ……でもおれにとってだって。…お前が一番なんだから。何より大事。綺麗。かっこいい。大好き……」
と言っておれの頭を抱き締めた。

 ああほんとに、いつまでもこのままでいられたら。千年の命を持つ仏像に、明日はそれを祈ろう。



END

やはりエチって苦手だお…すみません皆様。最近結合内容はしょってばかりですね(汗)終わりも中途半端くさい?ともあれメリークリスマス!お寺でメリクリ。なんつーサイトだが(笑)

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