トラブル・フィッシュ 夏の陣

◆今回分の挿し絵はコチラ◆

 コポポ……
 夏の熱帯夜、照明を薄暗くして少しでも涼を得ようとしているリビングの片隅で、煌々と蛍光灯に照らされ、蛍光色に浮き上がる水槽の中で、今日も金魚が泳いでいる。
 涼しそうに、気持ち良さそうに赤さんは今日も相変わらずピチピチひらひら泳いでいる。
 おれはフローリングに寝そべって、毎日毎日飽きもせず彼(かどうかははっきりしない)を見つめ続けている。
 相変わらず、と書いたが最近の彼の泳ぎはちょっと違う。うちにも馴染んで、年も重ねてそれなりに落ち着きでもでたのか最近の彼の泳ぎは以前のようにせわしなくアグレッシブでない。
 すい~っとゆた~っと、それはそれはのびのびと大人な遊泳を見せる。その洗練された泳ぎが、そんな彼の成長がうれしくもあり、寂しくもあり…と眺めていると、台所とリビングを繋ぐドアが開いた。
「あんたまた金魚見てんの。飽きひんねぇ」
 そう言われて、少しバツが悪い。
「気持ち良さそうやなーと思てさ、……涼しくて気持ち良さそう。最近赤さん大人になったね」
「じゃ近所のプールにでも日参すれば…はぁ?大人……別に変わらへんと思うけど?どこが?」
「いやさ、泳ぎがゆったり落ち着いてきたやん。ちょっとそれが寂しいけど」
「ああ、それ……赤さん視界に他の金魚入るとすぐコーフンして泳ぎが活発になるからな、隣が見えへんようにしきり間に置いたってん。それでやっと大人しくなったとこやで」
 なんだ…おれはあの落ち着きのない青い泳ぎが好きだったのだ。
「そうなんやー。それとっぱらっていい?」
「なんでぇな。折角落ち着いたのに」
 いや、イヤイヤする赤さんが見たかったから……言えないな。と金魚を物欲しげ?に見ていると
「ところで仁史。赤城君から手紙が来たよ」
 そう言っておかんは白い封筒をぴらぴらと振った。
「手紙?」
「そう。浴衣ありがとう、て。写真付き。喜んでくれたみたいでよかったわー。いい大人に金魚てどうやねんて思たけど、似合ってて…仁史?」
 おれはおかんの手から白い封筒をひったくると振り返らず自分の部屋へ直行した。
 金魚の赤さんより、人間の赤さんだ。歩いているうち、メッチャ興奮してきた。
 部屋に入ると、なんだか身体を持て余すような感覚、思いっきりベッドにダイブした。うなるスプリング、揺れるベッド。
 封筒から写真を取り出す。おれは息をのむ。
 そこには、夜の闇の中、白く浮き上がる金魚の妖精のような赤さんのきれいな笑顔が……
 かわいい。可愛すぎる。赤さんが、おれに向かって柔らかく微笑んでいる!
 相変わらず白くなめらかな肌。綻ぶ淡い色の唇。ほんとに可愛いよ。おれよりずっと年上なんて信じられない。白地に散った金魚柄が、とてもよく似合ってるよ赤さん。選んだ甲斐があったよ。やっぱり赤さんには金魚がよく似合う。
 ああ、赤さん……
 浴衣は、おれのおかんが以前家に来て金魚の世話をしてくれたお礼に、と最近始めた和裁で浴衣を作って送ったものだった。柄は悩んだらしく、おれに「何がいいと思う?」と訊いてきたからおれは即答したのだ。「金魚!」赤さんといったら金魚だろ。これしかない。決まり!他の柄は考えられなかった。
 おれはそのまま、左手に写真を掴んだまま右手をズボンの中に入れた。
 そこにはすっかりオレ同様ハアハアと荒く呼吸する愚息(なんかオヤジ臭い言い回しだな。でも狙ってる)が……
“仁史君、ありがとう。似合う?”
 赤さんのそんな耳をくすぐるような声が聞こえた。…気がした。
 赤さん……その無防備な浴衣姿。おれに脱がせてくれないか。胸元からがいいか。裾からがいいか……
 おれは1人エッチのシチュをモヤモヤと模索始めた。そこに一つの映像がぼわんと浮かんできた。
 床几に座って暑いせいかポーッとして悩ましげな赤さん。どうも最近何かで見た日本画かなにかの構図みたいだ。
 足下には水を張ったタライ。タライの中には金魚が一匹、泳いでいる。赤さんの足下に、赤さん(金魚)。
 おれは赤さん(金魚)視点で下から見上げる。しどけなく開く裾の奥の股間が、淡い陰を作りおれを誘っている。
「赤さん……」
 おれは誘われるまま、その陰に顔を寄せていった。両手で、白く輝く内股を撫でた後、外側を掴み足の付け根までむき出しにする。
『あっ……』
 びくん、と彼の身体に緊張が走る。おれは顔を股間に埋め、思う存分息を吸い込んだ。赤さんの匂いを鼻孔の奥まで吸い込んだ。暑さで火照る赤さんの肌は、柔らかく上気していた。
 おれは尻の辺りを鷲掴みにしていた手を腰の線に沿って撫で回す。浴衣は完全に腰から下を露わにしている。チラリとその様を見て、おれの股間がびくんと疼く。
 赤さん…下着を付けていない。色っぽすぎるよ赤さん…おれは鼻をくすぐる茂みの奥の小動物を舌先で掴まえた。
『あっ…あん……』
 甘く濡れた声が響く。そのまますくい上げるように舌先で転がすと、だんだん覚醒して起き出してくる。その頭をいい子いい子と舌先で更に撫でてやる。
『あ…ん仁史君ダメ……』
 全身の毛穴が開きそうな声で赤さんが言う。そっちこそダメだよ。そんな声出しちゃ。もうメチャクチャにしてやりてー。
 おれは舌に載せていたちゅうちゅうと吸いたくてたまらなかった彼のものに吸い付いた。ぷるんと舌の上で震える。
『やっ、やっ、仁史くん……』
 あがく赤さんの足。おれはがっちり腰を掴んで、舌で、口全体で赤さんのものを堪能する。腰から片手を離し、 かわいい玉を手でいじる。赤さんの太股がおれの顔を挟み上げる。その太股を両手で掴み、おれはさらに強く吸い上げる。口一杯ほおばって吸い上げて舐め上げてるだけで、うっとりする。なんか赤さんの先端が潤ってる。舌先でちろちろすれば、また赤さんが悩ましく声を上げる。
「赤さん、悩殺しすぎ……」
 赤さんのモノがビクビクする。おれは一杯に開ききり、破裂しそうな発射寸前のモノの茎に手を添え上下にさすりながら、舌先で先端の窪みを弄り、強く吸い上げた。『や…あん…』赤さんは全身に緊張を漲らせ、おれの口に迸らせた。おれはそのエロい汁を余さず吸い上げ、名残おしく口をすぼめながらきゅぽん、て感じで口を離すと、赤さんがまたふるふる震えた。腰に手を当てたまま、顔を良く見ようと赤さんを這い上るようにずいっとせり上がった。
 恥ずかしいのか、横を向き俯く赤さんの唇を、下から奪う。舌を出し赤さんの柔らかな唇を舐め回し、綻び始めると荒々しく押し入り、引っ込む舌を掴まえた。感じて唾液をたっぷり含んだ舌をこっちへ引き込み、吸い上げる。紅潮した頬、かすかに寄る眉間、鳴らす鼻。左手て背中を抱き寄せ、右手を股間に忍ばせた。さっきまでおれがしゃぶってたそれはしっとり濡れそぼって手に馴染む。
『ん……ん』
 苦しげにうめく赤さん。もっともっと息まで全部吸い取ろうとおれは彼の口内を、舌で探りまくった。
『ん……』
 きゅっと、背中に感じる拘束感。赤さんがすがりつくようにおれの服を掴んでいる。赤さん……おれは益々強く、きつく彼を抱き締めた。抱き潰してしまいたいくらい。めちゃくちゃにしてやりたいよ赤さん……そのまま今度は顎の裏、首筋を舐めていった。吸い付く赤さんの肌。ほんのり感じる汗の味。鎖骨をぱくんとくわえ、窪みをレロレロすれば、背をしならせおれに抱きつく。鼻先で浴衣を押しやりながら、おれは荒い呼吸で上下する胸に立った粒を舌で上へ下へと転がした。ぷっくりと脹らんだ粒。かわいくて食べちゃいたい。ぎゅーっと吸ったあと軽く甘がみした。赤さんは身体をくねらせる。
 もー我慢できねー。もっと味わいたい、赤さんの全てをしゃぶり倒したいけど、おれが持たん。おれはズボンの前をくつろげ、取り出した。その間に少し身を離し赤さんの現状を眺めれば、身体一枚覆う浴衣はしどけなくくつろげ、片乳がむき出して、股間だって剥き出しで無防備に濡れそぼるものを丸出して…おれは手を伸ばし、もう片方の胸もはだけさせた。もう全然裸と一緒だよ赤さん…赤さんの全てが今、おれの前に。
「赤さん、好きだ、好きだ……」
 ウウン、と赤さんが微かに首を振る。背中から腕を回し脇を上げると、甘酸っぱいようなその下の湿った柔らかい肉を吸いまくった。すると赤さんが盛んに胸を押しつけるから、また胸まで唾液を付けながら舌を滑らせてかわいいポチを嬲り上げる。もう片方の粒も、左手で捏ね、潰し揉み上げると赤さんは背をきつくしならせる。
 やん、やんと腰をくねらせ悶える赤さんを、大きく股を開かせ中指を舐めるとひくつく穴をつつき、つぷっと押し込んだ。
『あっ……』
 開かれた足を閉じようとする赤さん。それは許さない。まぁ閉じようとしてもおれの身体を締め上げるだけ。おれは指を上下させ熱く柔らかい粘膜を押し広げた。
『あ…ん』
 赤さんは顎をのけぞらせ、腕も足もおれに絡ませ、縋り付いてくる。これ以上我慢できないよ赤さん…おれは指を一気に抜き、もっと太いものを押し込んだ。柔らかいけどまだまだ狭いそこにめり込ませるようにして、赤さんの柔らかな肉にじわじわと捻り込む。だんだんと赤さんに包まれてる感覚が全身に広がっていき、気持ちよさにおれはあそこから震えが全身に広がった。
『ダメ…仁史くん』
 その震えに赤さんの身体が中から共鳴したようにきゅうっと締め上げる。が…我慢できねーよ赤さん……
 スパークしたおれはそこからガンガン腰を振って赤さんの奥の奥までを突き上げた。
 きゅうきゅう締める赤さんの身体はまるで吸ってくれてるようで。ああおれは赤さんに“吸って”欲しかったことを思い出した。もっと、もっと吸ってくれ。吸い上げてくれ。誘い込んでくれ。
 ひっきりなしに声を漏らす赤さんの熱い身体。その奥にこすりつけ快感を全身で感じるおれ。幸せな気分が酒みたいにおれを酔わす。おれの腕の中で、赤さんが泳ぐ。絡みつく浴衣に浮かぶ金魚の群も、身を揺すり泳いでいる。あっ、そろそろイク……。
 ケツに力が入り、腰を押しつける。出ていく開放感。赤さんに叩きつける感覚。たまんねえ。赤さんはピチピチ身を捩り堪えようとしてるけど、それは許さず固く抱き締めて……

 ……ふぅ。出終わった。
 すーっとクールダウンしてくる、この感覚。今までコーフンして全く感じてなかった空気の肌触り、夜気の冷ややかさ、隣の部屋の気配。あーやっちゃったよ。ついに妄想とはいえ赤さんを…
 おれって後戻り出来るのか?
 改めていつの間にかベッドの下に取り落としてた写真を拾う。やっぱかわいい。控えめな笑顔がタマラナイ。白い浴衣は夜闇に映えて…ん?
 そのときおれは初めて気付いた。隣にいる闇に紛れるような浴衣を着ている男に。男前に。何モンだこいつ。ベッタリ横にくっつきやがって。それは友達の距離か?
 更に改めておれは封筒を探り手紙を見た。“友達と一緒に祭に行きました”としか書いてねー。友達だ。
 ああホンモノの赤さんに会いたい。そのヤバげな浴衣姿を直に見せて欲しい。おれは下心満載でケータイを出し、近所の花火大会に来ませんかとメールを打ち始めた。

ぬぁんだろこれ…もっと簡単にさらさら~と書くはずだったものが…なんでこんなに難しかったのだろう…もっと簡単にエロ突入してエロだけ書くつもりが…それじゃ話にするのが難しいのですよね。といいつつそれしかないワケですが。しかし意外に苦労したよ。夏の掌編その1でした~しょーもな出来ですみません…その2ではもっと頑張ってみますぅ…

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